施設に宿る物語
祖父母の家から始まった、“恩返し”のゲストハウス
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BASEの原点は、愛媛にある祖父母の家で過ごした武田さんの幼少期の記憶にあります。土間やかまど、井戸が残る古民家や、周囲の田園風景、そこには都会とはまったく異なる時間が流れていました。なかでも強烈に残っているのは、祖父母が営んでいたウズラの飼育。餌やりから卵の収穫、出荷、そして命を見送ることまで——毎日途切れない営みは、「土地に根を下ろして生きる」感覚を、少年の心に刻みました。
やがて祖父母は高齢になり、ウズラ小屋を畳み、家を建て替えます。けれど、その家は祖父母の逝去を機に「誰も住まない家」になってしまう。そこから、武田さんの人生が大きく動き始めました。
※扉を開けると木造建築の心地よい玄関が旅人を迎えてくれる
祖父の逝去後、施設に入った祖母を見舞い、空き家となった家の管理を担うため、毎月、大阪から愛媛に通う中で、「先祖伝来の地を守りたいのなら、自分達が決断し行動するしかない」という実感が強くなっていきます。公務員という安定した仕事を手放し愛媛へ移住する——周囲が止めるほどの決断を後押ししたのは、通いの段階から共に汗を流し、この地への愛着を育んできた奥様の存在でした。こうして60
BASEは、“ルーツの家”を“旅人を迎える家”へと変えていく挑戦として始まります。
「サービス」や「ビジネス」の関係だけではなく、ベースには“お接待の気持ちをキャッチボールする空間”であってほしいという考えがあります。お金はいただく。でも、“ここまでやってくれるのか”という驚きが、次の恩返しへつながっていくと思うんです。
オーナーの想いと哲学
私は大阪で長く公務員をしていました。安定はしている。でも、祖父が亡くなり、祖母が施設に入り、空いた家の管理を担うようになってから、心の重心が変わっていったんです。「この土地には、自分にしかできないことがある」。大阪の仕事は“誰かに渡せる”。でも、先祖伝来の地とその歴史は、いま私自身が行動に移さないと全て途絶えてしまう——そう感じるようになりました。
仕事を辞めて移住するのは、正直、相当な決断でした。公務員は途中で辞める人がほぼいない世界ですから、誰に相談しても「アホか」と言われる。でも、人が住まない家屋、耕作しない田畑はあっという間に荒廃し、周辺地域にも悪影響を及ぼしてしまう。定年を待たずに退職し移住するための理由と価値は十分にあると思いました。そして何より、通いの段階から一緒に来て、共に汗を流し、この地への愛情を深めてくれた妻の理解が大きかったです。
移住すると決めたとき、はじめからお遍路さん向けの宿を開業することを決めていました。私は22歳のときに歩き遍路を経験し、四国の皆さんから、たくさんのお接待をいただきました。祖父母も励ましのため、行く先々で何度も応援に駆けつけてくれました。「もらいっぱなしは良くない。いつか返さなきゃいけない」。その気持ちは30年経っても消えていなかった。この地で住むことになったときは、四国の皆さん、四国の遍路文化のために恩返しをしたい。そう考えたとき、宿は“ちょうどいい恩返しの器”だと思ったんです。
※ホストファミリーの武田さんご夫妻
宿のサービスとしてこだわっているのは、料理です。私たちは愛媛県から「農家民宿」という認定を受け、様々な野菜や果物、米をつくっています。毎日、自家栽培の野菜を10~15種類使った手作りの料理をゲストの皆さんに召し上がっていただいています。
農業と料理を通じて、私たちの「暮らし」を知ってもらいたいと思いますし、ゲストの皆さんにとっても、四国の人々、日本人の「暮らし」をより深く知る機会になればと願っています。
※夕食の一例
私たちの宿は、元々が祖父母の暮らす「住宅」でしたので、客室は2室しかなく、お風呂も小さい。ご不便な点もあるとは思いますが、できたての料理を召し上がっていただく、旅のプランの相談にお応えするなど、きめ細やかなサービスも可能です。
そこに私たちのお接待の「心」を感じていただければ嬉しく思いますし、ゲストの皆さんがここで受け取ったものを、いつかどこかで、誰かに返したくなるように―”お接待のバトン”をつなぐ宿でありたいと思っています。
次の世代へ、お接待のバトンを渡すために
等身大の”日本の暮らし”を発見する場に
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BASEのお客さまは、歩き遍路が9割以上。さらにそのうち約45%が外国人です。外国からのゲストの皆さんにとっては、当宿の建築と料理を通して、等身大の日本の暮らしに触れる―そこに大きな価値を感じていらっしゃいます。
また、外国からのゲストの皆さんの多くは、彼らは感謝や喜びを言葉でまっすぐ伝える。「ありがとう」をきちんと届けてくれる。その文化は、宿を続ける私にとって大きな励みになっています。
”遍路の動機”は人それぞれ。誰もが心休まる場に
かつて四国遍路は、故郷や大切な存在を失い、放浪を続ける方も多くいらっしゃいました。現代の遍路は、カミーノ・デ・サンチャゴや熊野古道などのロングトレイルの経験者も多くいますし、京都や熱海などの観光では味わうことができない日本の姿を知りたいという方もいます。人生を見つめなおし、未来を切り拓くための時間を作るため、という方もいます。60BASEは、旅人の様々な動機や思いを静かに受け止め、誰もが明日また歩き出せる体調と気持ちを整える場であり続けたいと思っています。
巡礼者との心温まるエピソード
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フランス人シェフが”レシピ”で返してくれた恩返し
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ある日、フランス人のシェフが60
BASEに泊まりました。武田さんが出した豆乳のグラタンに対して、ベシャメルソースのアドバイスを求めたところ、数日後、そのシェフは自分のレシピを送ってくれたそうです。「ありがとう」の言葉だけではなく、“自分の技術”で返してくれる。そのまっすぐさは、宿主にとって忘れられない贈り物になりました。
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「この料理、あなたも本当に美味しいと思って食べてるでしょ」
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別の日、若いアメリカ人の宿泊者が、料理を口にしてこう言いました。「これ、あなたも“美味しい”って思って食べてる料理だろう。分かる」。武田さんはその言葉に、宿の仕事は“ごまかせない”と改めて感じたと言います。暮らしを楽しんでいるかどうかは、料理の味に出る。生き様が滲むからこそ、食卓が旅人の記憶に残っていく——60
BASEの価値を端的に表す一言でした。
宿のご紹介
滞在そのものが、日本建築との出会いになる家
60BASEは、地元の大工が時間を惜しまず丁寧に建て上げた、在来工法の日本家屋です。屋根には、いぶし銀の表情が美しい菊間瓦。太い檜の通し柱が家の芯をつくり、廊下にも節の無い檜板を贅沢に用いています。
壁は竹小舞と藁土を下地にした土壁で、呼吸するように湿度を整え、どこか身体がほどけるような静けさをつくり出します。透かし彫りの欄間、組木細工の障子、雪見障子——光や風を受け止める細部の設えには、手仕事の美しさと日本の暮らしの知恵が息づいています。
ここは、ただ一夜を過ごすための建物ではありません。歩き遍路の旅の途中、心と体をゆるめながら、希少になりつつある日本の伝統建築の「居心地」を、まるごと味わうための場所です。
※桧の通し柱
※欄間には透かし彫りの美しい意匠が凝らされる
※李朝時代のキャビネットは和風建築の空間にアクセントを与えている
宿泊について
ゲストハウス 60 BASE
公式ホームページはこちら
料金
- 1泊2食付き
- ¥8,000/人
- 素泊まり
- ¥5,000/人
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※食事ついては、ベジタリアン、ヴィーガン、ハラルなど個別の対応は行っていません
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※7歳未満のお子様は1,000円引き
お食事
採れたての新鮮な野菜をふんだんに使った家庭料理をご提供します
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※当ゲストハウスの夕食と朝食は、豪勢な懐石料理ではありませんが、自家栽培の旬の野菜をはじめ、愛媛県産のお米、自家製の味噌やお漬物を使った「ローカルフード」です。和食を中心に、里芋のコロッケ、スペインオムレツ、麻婆茄子、手包み餃子、シェパーズパイなど多国籍な料理を日替わりで提供いたします。コンビニ食に頼りがちな長旅の方には、ぜひ食事付きの宿泊をお楽しみいただけば幸いです。
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※食事に合うお酒も各種用意しており、地元の首藤酒造様の「寿喜心(すきごころ)」などの地酒もぜひお楽しみください。
チェックイン・アウト
- チェックイン
- 15:00〜20:00
- チェックアウト
- 〜10:00
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※到着が遅れる場合は必ずご連絡ください
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※チェックイン前に荷物を預けたい場合は予約時にご確認ください。
アクセス
- ・横峯寺(第60番札所)より徒歩180分
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・せとうちバス「大頭」より徒歩15分
※バスの便数が少なくなっています。最新のバスダイヤをご確認ください。
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・JR四国・予讃線「伊予小松駅」より徒歩70分
※当ゲストハウスまで約5kmあります。無料送迎承ります(要相談)。
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・無料駐車場あり(自動車・バイク最大3台)
- ・自転車駐輪場あり(屋内)
客室の特徴
客室1(1~4名:和室 18m2)
畳敷き書院造の和室です。
神棚や床の間、雪見障子、組木細工の障子が特色の部屋であり、床柱は杉の絞り丸太を用いています。
お布団とマットレスはお客様に敷いていただきます。
お部屋の鍵は内側からかけるタイプです。貴重品は室内のセーフティーボックスで保管してください。
- 1泊2食付き
- ¥8,000/人
- 素泊まり
- ¥5,000/人
※7歳未満のお子様は1,000円引き
<設備など>
無料Wi-Fi・冷暖房・32インチTV(地デジ&BS)・リモコン付き照明・セーフティボックス・ハンガーラック
客室2(1~2名:和洋室 11m2)
フローリング敷の2ベッドルームです。
ロフトベッドの下にはソファと読書灯を設けており、簡易なワークスペースとしても利用できます。お部屋の鍵は内側からかけるタイプです。貴重品は室内のセーフティーボックスで保管してください。
- 1泊2食付き
- ¥8,000/人
- 素泊まり
- ¥5,000/人
※7歳未満のお子様は1,000円引き
<設備など>
無料Wi-Fi・冷暖房・32インチTV(地デジ&BS)・リモコン付き照明・セーフティボックス・ハンガーラック
共用スペース&アメニティ
ダイニングルームは、食事やカフェ、交流のスペースです。滞在中ご自由にご利用ください。
テレビやオーディオ、テレビゲーム、本、雑誌、マッサージチェアの利用も無料です。
浴室は交代制です。衛生管理のため、当ゲストハウスの定める入浴ルールをお守りいただき、旅の疲れを癒してください。トイレは便座暖房と洗浄機能を有し、男女共用で1室です。譲り合ってご利用ください。
<無料サービス&アメニティ>
無料Wi-Fi・電子レンジ・冷蔵庫・ドリンクバー(コーヒー・紅茶・日本茶)・レンタルフェイスタオル・ドライヤー・シャンプー・リンス・ボディソープ
買い物用レンタサイクル(2台有)
<有料サービス&アメニティ>
洗濯機(1回100円・洗剤付き)・歯ブラシ(100円)・髭剃り(100円)・部屋着レンタル(500円/限定2着)
外国人巡礼者向け設備・サービス
ドリンクバー
コーヒー・紅茶・日本茶をお召し上がりいただけます
ドライヤー・シャンプー・リンス・ボディソープ
無料でご利用いただけます
英語対応
片言の英語、翻訳機による多言語会話が可能
クレジットカード
主要カード会社、国内コード決済に対応
冷蔵庫
お持ち込みのドリンクなどを冷蔵いただけます
歯ブラシ・髭剃り
それぞれ¥100で販売しております
洗濯設備
全自動洗濯機あり(¥100/回・洗剤付き)乾燥機なし
荷物預かり
荷物預かり可能(要問合せ)配送サービスなし
ゲストの皆さまへ
ダイニングルームは、食事やカフェ、交流のスペースです。滞在中ご自由にご利用ください。
テレビやオーディオ、テレビゲーム、本、雑誌、マッサージチェアの利用も無料です。
浴室は交代制です。衛生管理のため、当ゲストハウスの定める入浴ルールをお守りいただき、旅の疲れを癒してください。
トイレは便座暖房と洗浄機能を有し、男女共用で1室です。譲り合ってご利用ください。